こんばんは、あのつぎはイです。今日も更新やっていきます。今日は昨日の続きで、医学部6年間で学ぶ内容概略となります。3,4年生を見ていきますが、自分の通っている大学は3年の後期に基礎医学セミナーというものがあり、こちらが特徴的な実習となりますね。あとは自分たちのちょっと前から始まった「CBT」と「OSCE」が試験として4年生の最後にあります。ちなみに第一部はこちらから。
3年生
3年生前期
3年生も基本的に講義ですが、2年生の時に講義であった「生理学」と「生化学」の実習があります。カエルを使って筋肉の収縮を見たり、基礎研究でよく行われるWestern Blottingというたんぱく質をバンドで見る手法を実際に体験したりしてレポートを書く感じでした。前年度の試験が大変だった割にレポート作成は楽でしたね、その分ほとんど覚えていませんが(笑)。
講義については、実は2年生の1月から新しい講義がすでに登場しており、2年生から始まっていたのは「細菌学(自分の大学はここにウイルス学や真菌、医動物学も含まれていましたね)」と「免疫学」、それから「薬理学」でしたね。細菌学は言葉の通り食中毒を引き起こす細菌とか、今話題のCOVID-19などのウイルス、それから真菌=カビなどを勉強する学問です。免疫学は細菌学で学んだ敵に対して、体がどのように防御しているのか、もしくはその過剰防御の結果起きるアレルギーとはどのようなものなのか等を学ぶものです。薬理学も文字通りですね、薬を勉強する学問です。3つの講義とも3年次には実習があり、例えば細菌学ではあるチューブに細菌が2-3個含まれており、それがどのような細菌か調べて当てるというゲーム要素もある実習があったのを覚えています。
3年次には他に病理学という講義もありました。2年生で解剖学を学び医学部に入って人体を取り扱うという使命を感じ取るとすれば、病理学は初めて医者(のヒヨコにもなっていませんが)として病気を一通り学習する機会ではないかと思います。他の講義でも病気の名前は出てくるのですが、病理学で初めてその病気の名前や病気の成り立ちを学び、そして組織学同様顕微鏡を使って病気で起きた体の変化をミクロに観察するという、何か言葉で説明しにくい、でも医者になるんだ、勉強していくんだという事を感じた講義だった気がします。なお、2年生の時同様3年生でも7月に今までの講義の試験が一斉に行われるので、7月は夏休みを気分よく遊ぶために頑張らなければならないテスト月間になっています。
3年生後期
自分の大学では、3年生の後半は「基礎医学セミナー」なるものが行われます。10月から翌年2月まで約半年間、一つの基礎研究室に2-5人が配属され、そこで研究をするというものです。実験をする大学院生を大学3年生の時に体験してみようという感じですね。これ自分の大学が発祥で、今ではいろいろな大学で期間や内容を変えながら行われていると言われています(他の大学の皆さんにはいい迷惑な期間を作ってしまったともいわれています)。
しかも、このセミナーしっかり発表の場も用意されており、3月頭位に大学の講堂で学会さながらの雰囲気で発表会が行われます。自分も多くの教授先生を前にして、緊張しながら発表した記憶があります。しかも、その時の担当教官の先生が自分を大事にしてくれて、翌5月に行われる学会にポスター発表をしたら舞妓さんに合わせてあげると言ってくれたので、セミナー期間を延長して(4年生の講義が終わった後に研究室へ出入りしていました)頑張って学会発表までしてきました。結構こんな感じで、セミナー期間の研究テーマや結果によっては、翌年以降何かしらの学会での発表を後押して頂いたりする学生が多く、またこの期間でしかできない事もたくさんあったことから、卒業後の学生の間では基礎医学セミナーはかなり好評なのでした。
こんな感じで3年生が過ぎていき、折り返し地点が見えてきたところで、いよいよ4年生に入り、まさに医者になるための勉強が始まるのです。
4年生
4年生になると、医者として勉強しているような感じの講義が一斉に並びます。内科学(血圧が高い=循環器内科、肺炎になった=呼吸器内科、胃潰瘍で入院していた=消化器内科など、皆さんがイメージする町のお医者さんもここにはいるかと)に外科学、整形外科に脳神経外科、産婦人科に小児科、耳鼻科に眼下に皮膚科、麻酔科に放射線科(癌を相手に放射線治療をしたり、CTやMRIなどの画像の診断をしてくれたりします)、救急科などなど、実に多くに細分化された医学の内容を1年間で一斉に勉強することになります。
さらに、同時進行で1年後の5年生になった時に始まる病棟実習(大学ごとに呼び方が変わりますが、自分の大学ではポリクリでしたね)をスムーズに行えるよう、4年生では様々な医学実習を行います(非対人的な実習です、これを対人にすると病棟実習と同じになります)。面白いものとしては、手術室で手術するために術衣に着替える(ド〇〇ーXの大〇先生などの手術姿を想像してください)方法や、術衣を切る前にする手洗い(3-4回手を洗います、洗う順序や場所、洗い方なども決められていたりしますよ)、縫合の仕方(切れてしまった皮膚を縫い合わせること、スポンジみたいな道具で実際に針と糸を使って縫ったりしました)などがありましたね。それから医療面接の仕方(昔の問診ですね)や身体診察(聴診器の使い方やおなかの触り方等)も勉強します。
それからPBL(Problem Based Learning)というものもありました。これは医学生を6-7人のグループに小分けして、半日を3-4回ほど使って、一つの患者さんの症状発症から治療までの経過をストーリーのように追いながら、その時々で自分たちが疑問に思ったことやより深く勉強したいと思ったことを自学自習するという勉強です。自分としては症状や病歴から考えられる病名を列挙し(鑑別を挙げるなんて言います)、身体所見や検査所見から病名を絞っていくのが面白くて、その辺りを中心に勉強していた記憶があります。昔NHKで「総合診療医 ドクターG」という番組がありましたが、それを紙ベースで患者像を登場させ、医学部生がセミナー室で議論検討する感じです。これが面白くて、3年生の基礎医学セミナーでお世話になった教官の先生に相談したところ、New England Journal of Medicineという超・超・有名医学雑誌に毎週(第一週以外かも)case recordsがあるから読んでみてはどうかと勧められ、すべては無理でしたが、いくつか読んでみたことがありましたし、実は今でも定期的に気になったcase recordsは読んで知識をupdateしてたりします。
試験については、ここは自分の大学の特徴かもしれません、4年生時の試験は、公衆衛生学というもののみで、他の上に書いたような講義に関する試験は、大学固有としてはまったく行われませんでした。しかしですよ、4年生の終わりには「CBT (computer based testing)」と「OSCE (Objective Structured Clinical Examination)」という2つの試験がありました。歴史的な背景は別にしますが、どちらも自分の1個上位の代から導入された『全国の』大学で行われている試験(特にCBTは出題される問題はパソコンでランダムであるものの、出題範囲や形式などすべて全国で統一された試験になっています)で、この2つに合格しないと医学実習に出れない=5年生に進級できないというものです。CBTはコンピューター上に出される問題に5択のうちから応えていく形式の試験で、OSCEは実習試験になります。いずれ機会があれば2つの試験の内容や試験対策なんかも少し話が出来れば良いなーと思っています。
ここまでに書いてきた「試験」に『すべて』合格することで、晴れて5年生に進級でき(1-2個なら持ち越し可だったかもしれませんが、CBTとOSCEは絶対合格が条件です)病棟実習を始めていくことになります。なお、3年生以降は、朝1時限目から夕の4時限目(今は4年生だけ6限あるとか噂で聞きました、大変ですね)まで毎平日かならず講義か実習が存在します。
終わりに
いかがだったでしょうか。次回5,6年生を話すれば1-6年生までの医学講義をざっと俯瞰できるようになります。定期的なブログ作成のために決めたテーマだったのですが、3日坊主にならずに最後まで駆け抜けたいと思います。
それでは皆様、have a nice day and see you next day!
注)今回使用した写真や図は以下のフリー素材サイト様より頂きました。
Pixabay様(1行目は有料です、2行目から無料)