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ディベートで扱われたことのあるテーマって?(準備の必要なテーマからすぐにやれるテーマまで)

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 みなさまこんばんは、あのつぎはイです。今日も更新やっていきます。
 今回はディベートで扱われるテーマを挙げてみようかなと思います。ディベートのテーマっていろいろな分け方があるかと思いますが、今回はディベート甲子園(ディベート連盟が主催する、中学高校生向けの夏の全国大会)やJDA(日本ディベート協会)の大会などで扱われたことのある有名で色々文献を探した方が良いテーマ、即興ディベートで使えそうなその日にフラッとやれそうなテーマ、の2つに分けて説明してみます。
 ちなみに、ディベートのテーマを作るときは、最初はあまり曖昧なテーマにしない方がよく(例「日本の医療をディベートする」とかだと、賛成派と反対派のような2つにグループを分けにくい)、「日本は○○すべきである、是か非か」「日本は△△を廃止すべきである、是か非か」や自分の施設や所属機関など関するテーマを作るなら「☆☆病院は○○を導入すべきである、是か非か」なんていう風に決めてみるといいかと思います。
 前回のディベートネタはこちらから:ディベートって何 議論や弁論と何が違うのか 個人的な経験や考えも添えて

色々文献などを探しながら週-月単位で準備しながら行うテーマ

 まずはディベート甲子園やJDAで扱われたことのある、比較的有名なテーマを紹介してみようと思います。なお、もっと知りたいという方は以下のボタンからディベート甲子園の過去の論題やJDAの大会の論題一覧を見れますので、興味のある方はどうぞ。

ディベート甲子園の過去の論題はこちらから
JDAの大会の過去の論題はこちらから

1. 日本は積極的安楽死を法的に認めるべきである
是か非か

 まずは自分の分野からこちら。これディベート甲子園でも第3回、第8回、第15回、第26回と26年間で4回も取り上げられたことのあるテーマです。JDAでも複数回取り上げられていますね。日本で話題に上がるようになったのは、昭和37年の名古屋高裁や平成7年の横浜地裁で事件が取り上げられた頃からでしょう。しかし日本の医療業界では、尊厳死(積極的な延命治療は行わない)はテーマに取り上げられることが多い一方で、積極的安楽死(薬物などを用いて患者の余命を短縮する事、自殺ほう助の一種である)は基本的に行わないといわれているだけで、必要なのかどうか、あまり議論もされていないテーマです。ところが、2020年にALS患者に自殺ほう助を行ったとして医師が逮捕される事件が起きました(「ALS 日本 安楽死 2020」とかで検索すると出てきます)。この時も安楽死という言葉がニュースに登場していて、決して日本において医療業界が無視してはいけないテーマな気がします。
 このテーマを肯定する側としては、治療で治らない患者に耐えがたい苦痛が存在し、死のみでしか苦痛から解放できないから積極的安楽死を認めようというもの、否定側としては周囲からの圧力により、本当は望んでいないのに積極的安楽死強要させていしまうことがよくない、などの話が出てくることが多いです。
 専門家ならその日でもできるテーマかもしれませんが、上のような歴史を勉強したり、人は最後に死を選ぶことがあるのか、そもそもそれを法として認めることはどうなのかなど、調べたり考えたりすることが多いテーマなので、ある程度の期間準備をしてからディベートをした方が良いかもしれません。

2. 日本は救急車の利用を有料化すべきである 是か非か

 もう一つ医療テーマから。これもディベート甲子園で第9回と第17回と複数回取り上げられているテーマです。日本では基本的に救急車の利用は無料です(大病院に搬送され診療を受けた結果緊急性に乏しいと判断された時に「特定療養費」がかかる可能性がありますが、あまり一般的ではありません 例えばこちらのQ4に載っています)。そのおかげで心配になった時にすぐに救急車で病院に連れて行ってもらえますが、その救急車の供給(=台数)にも限りがあります。そのため、無料だからと軽い病気でも皆が一斉に利用すると、本当に必要な患者が救急車を呼んだ時に(119番ですよ、110番じゃないですからね)救急車が出払っていて病院で診療を受けるまでに時間がかかって病状が悪くなったり最悪亡くなってしまったりする可能性もありえます。
 このテーマを肯定する側としては、有料化することで軽症(もしくは軽傷)患者の救急車利用が控えられ、重症患者が速やかに救急車を利用でき、すぐに病院で診療を受けられる体制を整えておくべきであると主張することが多く、否定する側としては、軽症に見えて実は重症な患者が救急車を利用することを控えた結果、返って病状が悪くなる可能性があると主張することが多いですかね。
 このテーマも今の救急車利用の頻度や、実際に上で説明したような事例があるかどうか調べてディベートをした方が、審判を説得する上で説得力が増すため、ある程度準備した方が良いかなと思います。

 ここからは自分の仕事とつながりの薄いテーマなのでざっくりといきましょう。

3. 日本は道州制を導入べきである 是か非か

 ここからは政治的テーマをいくつか。まずはこちら。今の日本は都道府県に分かれている一方で、基本的に霞が関の力が強い構造となっています。2020年のコロナ禍において、緊急事態宣言やまん防なんかを知事レベルで出せないので、一度国会・行政にお伺いを立てて、そこから宣言が発出されるというのをイメージしていただけると分かりやすいかなと。道州制なら知事レベルで各地域に必要な行政を独自に作成しやすいというものがあるかなと思いますが一方である程度のお金が無いところだと、やりたい事がやれないという感じで、お金のあるなしで地域ごとの格差が生まれかねないというものがありますね。

4. 日本は国会を一院制にすべきである 是か非か

 もう一つ政治的テーマを。たいていは参議院を廃止するという感じでディベートをするものが多いです。2院制は世界の40%近くの国で取り入れられています(こちらの結果から)が、例えばイギリスの上院と下院では構成メンバーが異なる(上院は貴族で下院が庶民)など、国によって構成員そのものの特性にも違いがあったりします。日本は衆議院と参議院の2院で、任期や人数に違いはありますが、どちらも国民の選挙によって選ばれるという意味では違いがありません。肯定側としては、参議院がいると同じ賛成の立場をとることが多いのであれば参議院での審議の時間が無駄だから、参議院を廃止して、その空いた時間を衆議院で他の審議にあてて2倍の量の審議を行おうと言ってみたり、違う立場を取られると国会が空転する(よくねじれの国会のと言われるものですね)して、やっぱり参議院は邪魔だから廃止しようというメリットがありますね。対して否定側は参議院から独特の法案が提出されていたり、参議院で賛成といっても大事な法案修正をしていたりするから、無くしてもらっては困ると主張することが多いでしょうか。

5. その他

 この他にも、「日本は死刑制度を廃止すべきである 是か非か」とか「日本は原子力発電所を廃止すべきである 是か非か(東日本大震災の影響であまり取り上げられなくなりました)」、「日本はベーシックインカムを導入すべきである 是か非か」あたりも有名ですね。

もっと身近なテーマとか直ぐにディベートができるテーマってないの?

 次は、あまり準備の必要のない(準備をしたらもっと面白くなるだけです)テーマって何かないか、という感じで考えていきたいと思います。こちらのテーマの事を、よく「即興ディベートのテーマ」なんて言ったりします。例えばテーマを決めて、賛成側と反対側もあらかじめ決めてしまって(そうすると反対サイドの準備を省けるので準備を身近くできる)、2-3時間(場合によっては30-60分でも)で準備してディベートするって感じです。半日-1日で出来るので、初めてディベートをやってみたいという人にもおすすめの方法です。その時に取り上げるテーマとして出来そうなものをいくつか挙げてみたいと思います。

1. ドラえもんは22世紀に帰るべきである 是か非か

 いきなり卑近なテーマが出てきました。これ、結構中学生や小学生にやらせてみると、結構面白いです。

2. 日本は中学生以下が携帯電話を使用することを禁止すべきである 是か非か

 こちらはディベート甲子園でもテーマに挙げられたりしますが、即興でも十分できます。中学生を小学生や高校生に替えても通用するテーマです。肯定したり否定したりする理由も、いじめの温床を防げるとか、犯罪に巻き込まれた時に助けを呼べなくなるなど、ちょっと考えただけでも色々と出てきます。あまりお勧めしませんが、お子様から携帯電話が欲しいといわれた時に「○○は携帯電話を持つべきである 是か非か」として話をしてみてもいいかもしれません。が、間違いなく理屈っぽいとか面倒くさいとか言われるような気がします(それで「じゃあいいよ、ふんだ」と言われれば、うまく携帯電話を持たさなくてよくなってお父さんやお母さんにとっては良いのかもしれませんが)。

3. 日本は高齢者の免許返納を義務付けるべきである 是か非か

 最近話題の高齢者の自動車運転に関わるテーマですね。ディベートをする時は高齢者を何歳とするかを決めておいた方が、肯定側と否定側で意見が統一できるのでいいかと思います。都市部の人と都市近郊の人、疎開地みたいなところに住んでいる人で、おそらく想像できる事が変わるので、それも一つ面白いかと考えています。

4. 日本は小売店の深夜営業を禁止すべきである 是か非か

 こちらも身近な例なので取り組みやすいのかなと。深夜業をしている小売店の代表格はコンビニです。海外旅行の経験のある方ならわかると思いますが、24時ころまでやっているコンビニという店舗形態は日本固有と言ってもいいかもしれないくらいです。ところが一方、深夜に営業する必要があるのかという話も出ています。コンビニ店長の過重労働を問題視すべきか、コンビの持つ利便性や夜間の駆け込み寺のような緊急避難所の役割を尊重すべきか、これも比較的ネタを出しやすいテーマかなと思います。

5. 日本は自動販売機を撤廃すべきである 是か非か

 よくエネルギー論題や科学論題を考える時に登場するテーマの一つです。これ、ディベート連盟東海支部が少し前まで展開していた「B論題」で覚えているところで2回ほど取り上げられたのですが、1回目の時に自分の母校で一個上の先輩たちが「自動販売機にはセアカゴケグモというとても危険なクモがいる」という話をしたところ「そんな話は聞いたことが無いし、いまいちイメージがわかない」といわれて負けてしまいました。ところがその後テレビなどでセアカゴケグモが取り上げられるようになり、2回目の時にはセアカゴケグモはポピュラーなネタとして登場していて、当時の自分は先輩たちの先見の明というか、ディベートで言われる未来を写すプロジェクターとしてしっかり機能していたというか、そんな感想を抱いているテーマでもあります。

 このあたりは、自分の業種に当てはめてテーマを作ってみてもいいかもしれません。例えば「○○会社は△△という制度を廃止すべき(もしくは導入すべき)である 是か非か」とかですね。

まとめ

 いかがだったでしょうか。ディベートのテーマって有名どころも多いですが、即興ディベートのテーマとして扱うには、かなり重たい物が多いです。それよりは、即興ディベートのテーマで挙げたように、身近にある例を題材にした方が、展開しやすいかなと思います。もしくは、上で話したように「○○会社は△△を導入すべき(もしくは廃止すべき)である 是か非か」を利用して「※※会社はバレンタインのチョコレート配布を禁止すべきである 是か非か」「花丸会社は食堂利用の時間を延長すべきである 是か非か」なんてテーマを作ってディベートをしてみるのもいいかもしれません。次回ディベートネタは実際にディベートをやるとしたらどのようにやるべきか、時間の流れのようなものを説明できればと思っています。

 それでは皆様、have a nice day and see you next day!