みなさまこんばんは、あのつぎはイです。今日も更新やっていきます。
今回は医学部6年間の講義実習概要の第三弾です、これで最後です。
第一部はこちら、第二部はこちら から
早速始めていきましょう
5年生
5年生はついに病棟実習=病院の中での実習(ポリクリ、クリクラ、BSL等)が始まります。各科ごとに実習を行っていきますが、だいたい1-2週間で次の科、また次の科…とやっていく感じです(ローテするっていいます)。実習内容はローテする(こんな使い方)科によって色々です。内科を回っている時は、入院している患者さんが学生3-4人に一人あてがわれ、話を聞いたり(問診するってほとんど言わないんですよね、最近)、身体診察をさせていただいたり、検査に同行してみたりします。外科なら手術場に実際に入り、執刀される先生と同じように手洗いして術衣を着て術野の側まで入って見学をします。先生によっては手術中に解剖的なことを聞いてきたり教えてくれたりして大変勉強になる時間になります。救急科の時には研修医の先生たちに交じって心肺蘇生の方法を勉強する時間なんてのもあったりします(運転免許取得時に心臓マッサージを教えてもらった人も多いと思いますが、あれの発展版です)。なお、これを読んでくださっている1-4年の医学部生がいた時を考え断っておきますが、終了時間=帰宅時間も当然ローテする科によってマチマチです。特に外科の場合、大学病院のせい(おかげ?)で長時間に及ぶ手術が多く、その手術に入る事になると、場合によっては日付をまたぐ(実際またいだ同級生もいました)可能性もあったり、そのくせ翌日も早朝から症例検討会があって7時ころに病院にいかなきゃいけなかったりと、だいぶ時間については自由がきかなくなることもあります。緊急手術に呼ばれることは、確かなかった気がしますが、大学によってはあるのでしょうか、ちょっと聞いてみたいところです。もちろん科によっては16時くらいに終わって繁華街へ…なんてこともできましたが(笑)。ある意味ここで各科のイメージというか、印象が決まっちゃう気もしますね。
また、大学病院での実習のためどうしても病気の種類が偏ってしまう(特に自分の大学病院は小児科なんかある特定の疾患の患児ばかりでした、全国的にも有名だそうですが)ため、市中の病院に出向いて実習をさせていただく(病院見学に近かったんですけど、楽しかったですよ)機会もありました。それこそ1か月大学の関連市中病院で実習をするなんていう期間もありましたね。
あと、CPC(Clinico- Pathological Conference)というものもありました。こちらは表現が中々残酷なものが含まれてしまうため割愛です、何かの折に話が出来たらと思います。
5年生の間は試験が無いことが多い気がしますが、だからと言って夏休みや冬、春休みが完全自由かというと、そういうわけにもいきません、なぜなら大学卒業後の研修病院先を探すため(という名の自分の顔を売るため)病院見学をしなければならないからです。医学部生は大学卒業後、医者になるために厚労省(こちらに制度の概要などが書かれたホームページがあります)から決められている初期研修(研修医と言われる期間ですね)という研修を受けなければなりません。その研修を受ける病院は、あらかじめ各人決められているわけではなく、大学病院を含めた全国の認定を受けた研修病院から自分たちで選んで決める必要があります。そしてその選定は100%通るわけではなく、こちらが希望を出すと研修病院もどの学生(将来の初期研修医)が欲しいかを発表し、その両方からの希望票を元に研修病院がきまります。これを「マッチング」制度と言います。6年生の夏-秋口にかけて研修病院が行う研修面接を受けに行き、そして秋に希望票(確か2-3個の希望病院を希望順に書いていくシステム)の提出をし、冬までに希望の結果が発表されます。ある意味医学部生の就活と思っていただいてもいいかもしれません。とはいっても基本的に医学部生に圧倒的に有利な「売り手市場」になっているので、よほど人気の高い研修病院でもない限りは焦る必要はありません、病院見学をきちんとして、人事担当の先生たちに顔と名前を覚えてもらえれば十分です(しかも結構覚えてくれます)。多くの場合は5年生の夏休み頃から研修先病院を考えながら病院見学を始め(大学によっては関連病院の一覧ファイルが学務や教務に置いてあり、その隣にあるカレンダーに名前と行きたい病院を書き込んでいくってところもあるようです:自分がそうでした)、例えば希望の病院を2-3個決めて、1病院につき1科を一日見学する、行きたい病院が決まれば5年生の冬休みや春休み、6年生の夏休みにもう1-2回(計3-4回/病院 科は変えてもOK)見学に行って病院ごとの面接を受けてマッチングを目指すって感じでしょうか。研修先を決める方法は、例えば希望する診療科が既にあって、その診療科の強い病院を探す、体力に自信はあるが勉強はあんまりできないから体育会系の病院を目指す等強みを伸ばす感じで研修先を決めてみたり、将来いく診療科に関係ないことを(初期研修が終われば勉強する時間が無いだろうから)研修中に勉強できる病院を探してみるという弱みをカバーするように決めてみたり、将来次ぐ予定の親の診療所の近くの研修病院を探してみたり、といろいろな方法があるかと思います。研修病院を決める際、その病院を見学するときに見るべきポイントを挙げるとすれば、10年以上先輩の先生たちの意見・ホームページに書いてあることを鵜呑みにしない、初期研修で実際仕事をしている先生(特に1年目の、自分たちの1個上の先生)たちの意見を聞く・その先生が自分が思い描く研修を受けているか見る、研修2年目の先生たちが実際に自分が想像している先生像になっているか(もしくは近づいているか)を見てみる、といったところでしょうか。
なお、注意すべきもう一点として、所属する大学のある都道府県の外で研修したい場合か、希望者が殺到する研修先病院を選ぶ場合です。その場合は顔を売るのに時間がかかるため、場合によっては4年生の冬休み、もしくは4年生から5年生に変わる春休みに病院見学を始めてみた方がいいかもしれません、行こうとしている都道府県で研修している先生や先輩がいればどの病院が人気なのかを早めに知っておくというのも有効でしょう。早めの準備が勝利のカギなのはどこでも一緒ですね。
6年生
さぁ、最終学年までやってきました。前半戦は病棟実習の続きであることが多いと思いますが、自分の大学では5年生の病棟実習は6-7人が一斉に回るのに対して、6年生の4-7月は2-5人ほどが各診療科を6週間(つまり都合2か所を)しっかり実習する感じでした。
その実習をこなしながら、大学によっては5-6年の間の春休みから卒業試験が始まるかもしれません。各診療科毎の試験が次から次へと襲ってきます。実習をしながら勉強して、試験が終わったと思ってもその2週間後にまた試験がある…いつになったら試験がなくなるのでしょうか(なお、卒業しても各科専門医を取るためにまた試験があります、無くなりませんね、試験)。このあたりの卒業試験対策ですが、基本的に卒業していった先輩から必ず過去問を手に入れて、それを中心に行ってください(多くの大学で試験委員という人がいて、過去問を上から下へ毎年贈っていると思います)、無いと非常に大変です。というのも、この卒業試験(という名の各診療科ごとの試験)は大学ごとに特徴があり、国家試験に準拠したり国家試験対策を前提に作られている時もあれば、そんなものはお構いなしで教授や担当教官が自由に作成(国試以上の難度を誇ったり、なんだったら専門科試験に準拠するほどの難問だったり)されることもあり得るからです。試験なんて嫌いで嫌いでしょうがなかったはずなのに、どうして試験を作る側になると嬉々として難しい問題(学生の範囲を超えてという意味ですよ)を作り出すのでしょうか、一度別の診療科の先生に別の診療科の試験問題を解いて欲しいです。自分の大学では外科と脳神経外科が大変でしたね(脳神経外科なんて専門医試験で一番難しいといわれているのに、それを元に作っているという噂もありました、確かに零から自分で作るより直近で解いたことのある問題を利用した方がいい問題ができるのは分かりますが)。さらに6年の夏休み直前くらいにadvanced OSCE(Objective Structured Clinical Examination)なるものあり、それはまぁ試験が盛りだくさんです。
そしてそんな試験をたくさん乗り越えて、6年の2月に最終試験である医師国家試験を受けて、3月に卒業して、医師国家試験の合格通知を受けて、ようやく初期研修医として病院で仕事をするようになるのです(だいぶ端折った、ここだけで1記事出来そうだし)。
終わりに
いかがだったでしょうか。こんな感じの6年間ですが、噂であった「昔は講義でなくても~」とか、「試験落ちても教授とコーヒーブレイクをすれば合格になった」などの話は自分たちの時にはすでになく、基本的にすべての時間をキッチリみっちりこなしていく感じです。
それでも夏休みに西医体や東医体などの大学ごとのスポーツ大会があるので、運動系サークルや部活は毎日練習を欠かさなかったり、自分のように夏休みはディベート甲子園の応援をするために高校にお邪魔したり東京に行ったり、楽しむときはしっかり楽しむというメンバーが多かった気がします。
それでは今回はこの辺で、have a nice day and see you next day!