ディベートネタ PR

ディベートの質疑を考える セミナーとかでも使えるので先にやります

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 みなさまこんばんは、あのつぎはイです。今日も更新やっていきます。

 今日はディベートネタです。そして、質疑について考えていきます。本当は順番で行くと立論を先に話したいのですが、立論の話は結構ボリュームが出そうで、その前に質疑をやろうかなと。というのも、実社会においては、立論の構成も非常に大事なのですが、質疑もそれと同じくらいで大事で、そして日本人の場合質問をするっていうのが欧米に比べて非常に少ないという話が多いので、先に質疑を考えてみて、それで「ディベートをやると質問する力がつくよ」って言えればいいかなーと思い取り上げてみようと思います。

 それでは早速やっていきましょう。なお、以前のディベートブログはこちら(「ディベートの試合の進め方 競技ディベートは話す順序が決まっています」)から。

1. ディベートにおける質疑の立ち位置

 まずは実社会での活用に行く前に、ディベートの試合の中で、質疑の立ち位置を考えてみようと思います。ディベートで質疑というのは、立論が終わった後に行われる、試合の中で唯一相手と会話のできるパートでもあります。

イメージ図

よく、ディベートにおいて質疑をする時、質問の仕方として言われるのは

1. 相手の話で分からなかったことを聞こう

2. 次に続く反駁の話をするための土壌づくりをしよう

 というのが大枠として言われています。1つ目の内容については、言葉通りですが、2つ目については分かりにくいところもあると思います。それぞれ見ていきましょう。

2. 分からなかったことを聞こう

 こちら、言葉通りなのですが、意外と出来ない(というか「しない」)人たちが多い気がします。個人的には、いろいろな勉強会があって、質疑したいことが沢山出てきます。でも、その大半は「聞こえなかったから」「聞こえていたけど、自分にとって知らない言葉があるから」「言葉は聞いたことはあるが自分の知っている意味と異なる意味で使っている気がして、どちらの意味が正しいのか知りたいから」「話のつながりが分からなかったから」質問しているんですよね。今の研究室でも、自分の知らない世界が沢山あるので、その度に質問しています。理解できていない事、聞けていなかった事、それは確かに自分が悪いのかもしれませんが、ディベートで審判をやっていると「聞こえなかった/理解できなかった のは話している相手が悪い」と開き直ることが多いのも、質問できる所以かもしれません。

 ポイントとしては、「何が」分からなかったのかを明確にして質問することです。例えば「言葉の意味」が分からなかったのか、「その実験で何を言いたいのか/もしくは言えるのか」が分からなかったのか、とか。この辺りを明確にして質問できると、結構回答者も気分よく回答できたり、話が進んだりすることが多いかなと思います。

 記事を書いていて思い出した一人の生徒がいます。その生徒、まぁ出来の悪い生徒だったんですよ。中学生の頃から教え始め、高校生になっても教えていたのですが、まぁ手のかかる生徒でしたね。しかもこの生徒、先生を馬鹿にするんですよ。場合によっては先生の事を下の名前で呼び捨てにするとか、それこそ大学生になってからでも、大学の教授相手に呼び捨てにしていたみたいですからね。え?私相手ですか?恐怖政治でしたね(笑)。もし呼び捨てで呼ぼうものなら、徹底的にしごいたでしょう、呼んでいなくてもしごきにしごいていましたが。多分怖かったと思います。高校卒業する時に聞いたら「怖かったけど優しかった」と言われましたから(怖さと優しさって両立するんだーとも思いましたが)。

 そんな生徒が、高校生になって間もないある日「化学が分からない、全く分からない」っていうんです。自分が教えていたのは数学と英語(メインは数学)で、化学自体を教えるのは時間次第というところだったので「先生に分からなかった所を聞きに行ったら?」って言うと「怖い」って言いだしたんです。これ、自分の中のスイッチなんですね。「おい、今まで色々な先生を馬鹿にしてきて、ただ怖いってだけで何を言っているんだ。いっそのこと徹底的に聞いて来い、それこそ職員室に立てこもり、日が暮れようが日付が変わろうが、ズボンにしがいみついてでも化学を教えてもらってこい。もし先生から『どうして分からないんだ!』と言われようが『お前は馬鹿か!?』と言われようが、『時間が無い』って言われようが、それでもしがみついてこい。そして『そうなんです、私は馬鹿なんです。だから、馬鹿な私でも分かるように、先生(ここ大声で)、化学を教えてください。私は何時間でも先生の話を聞きます』って言ってこい。そして、分からないところはうやむやにせずに『分からない』『分からない』って言え、どこが分からないかも分からないなら『何が分からないかも、どこが分からないかも分からない』って言っていいんだ。そして、それでも化学が分からなかったら、もしくは化学を授業の時間外で教えてもらえなかったら、堂々と、はっきりと、大きな声で『あの○○は私に化学が教えられない先生だ。私に分かるように化学を教えられないダメ教師だ。怖いのは単に強がっているだけで、あんなの大したことないよ』って、もしくは『あれだけ威張っているくせに、私が化学を教えてほしいって職員室まで行ったのに教えてもらえなかった。授業時間内でもわかる授業ができない上に、時間外も役に立たないなんて、あれが教師やっているんだ、教えることさえ出来ない先生の言うことを、どうして私がきかなきゃいけないんだ』って好きな事言っていいよ。」って言ったんです。そしたら、本当にその通りに実行したらしく、後日「化学の先生が好きになった。素直に分からないって聞いたら、分かるまで教えてくれた。見た目や言い方は怖いけど、中身は全然怖くなかったよ」って笑顔で話をしてくれました。しかもその後、その生徒が何かやらかした時も、その化学の先生が「この子はそんな悪い子じゃない、私が保証する」ってかばってくれたみたいで、あぁ、いい先生だなぁ、その良さがこの生徒に分かってもらえて先生もよかったねーと感心してました(どこから上目線の話を…)。

 この話を登場させたのは、何もかっこいい質問とか、分かっている人同士の質問とかが重要ではないという事です。分からないことを分からないという力、それを声に出すこと、これが最も重要ではないかなと思います。

3. 反駁につながる土壌づくり

 話題を変えましょう、熱くなりすぎました。

 ディベートにおける質疑というのは、基本的に立論と反駁の間に行われます。レベルの高い試合なので分かりにくさもあると思いますが、その典型的な仕事をした質疑が、このyoutube動画の否定側質疑かなと思います(10:20から肯定側質疑が始まります)。

 観念的な話になりますが、こちらの主張と相手の主張が食い違うことが想定される(反駁をするというのは、相手の話を否定したいので、食い違うのは当たり前なのですが)場合に、こちらの主張が相手より正しいことを伝えるために

・相手の話の中の、どの主張を否定しに行こうとしているのか(こちらの話の展開がスムーズに理解してもらえるように)

・相手の話の中の、主張に登場する根拠がどこにあるのか(こちらが反論したいところを明確化)

 このあたりを質疑します。多分先ほどの動画の場合は、どの主張を相手にしているかを聞いて、そしてその主張の登場した資料の年代を確認しているかと思います。そして反駁で、その年代よりも新しい年代の資料を用意して、相手の話の根拠をつぶすというのが、かなりきれいに展開されています(ストーリーは非常に分かりやすいのでお手本にしてほしいのですが、いかんせんディベート経験した人じゃないと早すぎて、ただの早口大会なんですよね)。

 ほかには、救急車の有料化という論題でディベートした場合、肯定側立論で「今は無料のおかげで多くの人が利用する、そのせいで救急車が出払っている時間があり、そのせいで本当に救急車が必要な人が救急車を呼んでも救急車が来るのに時間がかかり、病院につく頃には重症化してしまう。だから救急車を有料化して救急車の利用者数を減らし、本当に必要な人の所に救急車がすぐに駆け付けられるようにしよう」と言ったとして、否定側の質疑で「必要な人が救急車を利用できるという事ですが、この必要な人は有料でも救急車を呼ぶんですか?」というと、聞いている審判としても「あっ、多分否定側は、肯定側が救いたい人も有料化で救急車を利用しなくなるために、メリットが発生しないことを主張しようとしているんだな」と、想像もつくし反駁もスムーズにつながるという感じです。

 多分皆さんが想像するセミナーとかの質疑応答ってこんな感じのやり取りかもしれません。でも、ここまで質疑応答ができるというのは、質疑をする側にも、それ相応の知識や知恵を要求される可能性が高いからです。

 もちろん即興で思いつく人もいますが、それは上のように何度かディベート言う非日常空間で訓練を積んで初めてできるようになると思っています。そういう意味では、ディベートをやっていく中で、身につくスキルの一つと言えますね。

4. 最後に

 いかがだったでしょうか。今回は抽象的に質疑の話をしてみました。おそらく皆さんの想像する質疑応答って後半の内容かもしれませんが、まず大事なことは「分からない事は分からないと言う」勇気を持つことかもしれません。せっかくなら、今度のセミナーで、一つでいいので質問、してみてはいかがでしょうか。

 それでは今回はこの辺で、have a nice day and see you next day!